株式会社ZOZOテクノロジーズ
巨大ファッションショッピングサイトの開発プラットフォームを支えるSaaS型GitHub。 CI/CDも含め開発プラットフォームをすべてクラウドベースで刷新。
  • 業種 リテール
  • 企業規模 1,000+

事例をダウンロードする

GitHub Business Cloud を 公式開発プラットフォームとして採用

株式会社ZOZOテクノロジーズは、日本最大級のファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイの100%子会社で、同グループに所属する全ての技術者が集結し、グループ全体のサービス運用・技術開発を担う組織として2018年4月に設立された。ZOZOTOWNやプライベートブランド(PB)「ZOZO」におけるファッションショッピングサイトや、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」などのファッションサービスの運用・開発業務、同社所属のラボ組織であるスタートトゥデイ研究所によるR&D、新規事業の創造などを通じて、これまで感覚的に語られてきたファッション分野を科学的に解明し、ZOZOSUITなどに象徴される革新的なテクノロジーを実用化することで、世界中の人々がよりファッションを楽しむことができる世の中の実現をめざしている。

ZOZOテクノロジーズが業務の核心となるソフトウェア開発プラットフォームに選んだのが、企業向利用に最適化されたGitHub のSaaS版である「GitHub Business Cloud」だ。現在は、ZOZOTOWNやWEARの開発に関わるエンジニア、デザイナー、アナリストが利用する公式の開発環境となっている。

その背景には、ソフトウェア開発の現場で世界的な支持を得ているGitHubへの信頼と、オンプレミス管理を脱してクラウド化へ進めようとした強い思いがあった。

開発プラットフォームをクラウド移行することでエンジニアの生産性が向上

ZOZOテクノロジーズ ZOZOフロントエンド部 佐藤 裕司氏は、開発環境の変遷について次のように説明する。「以前はGitLab のオンプレミス版を導入し、サーバーを管理・運用していました。しかし、エンジニアが兼務でサーバー管理していたため、維持管理や運用のコストが大きな負担になっていた上に、ビジネスの急拡大に伴ってサーバーへの物理的な負荷も逼迫し、ツールのパフォーマンスが低下することも頻発するようになっていました。この体制ではサーバーリソースを柔軟に増強することが難しいと感じ、オンプレミス運用からクラウド利用へ大きく舵を切る決心をしました」

そのような状況の中ZOZOテクノロジーズが選んだのはGitHub Business Cloudである。2017年11月にZOZOテクノロジーズはギットハブ・ジャパンと正式に契約。最初はビジネスチームからGitHub の利用を開始し、2018 年1月末からは段階的にZOZOフロントエンド部の開発チームとZOZOバックエンド部の開発チームがGitHub Business Cloudに開発環境を移行した。2018年5月末現在で100 数十人が利用するまでに拡大し、その勢いは現在も続いている。

「GitHub Business Cloudに移行したことによって、既存のオンプレミスサーバーの管理が不要になり、人的コストが大幅に削減。パフォーマンス問題も解決できました」という佐藤氏は、当初の目的は問題なく達成できたと語る。サーバー運用業務を兼務で担っていた担当者には、週に何度も問い合わせやクレームが寄せられていたが、GitHub 導入後はその管理負担から開放され、本来のクリエイティブな開発業務に専念できるようになったのは大きな効果だと評価する。

GitHub のオンプレミス版(GitHub Enterprise)をパブリッククラウド事業者のサービス上で運用することも検討したが、それでもバックアップなど管理が発生する。また、ソースコードをクラウド上で管理することに懸念を持つユーザー企業もいるが、自社でセキュリティ対策を万全にするためには人的リソースの投資が必要となり、今回は様々な観点から高いセキュリティレベルを誇るGitHubのサービスを全面的に信頼することとなった。

開発プロセス改善の一環としてCI/CDを含めた開発プラットフォームすべてをクラウド化

開発プラットフォームをオンプレミスからクラウドに置き換えるだけではなく、開発プロセスにおけるコミュニケーションや自動化の実現など、開発プロセスの改善も行いたいという思いがあったと強調するのは、ZOZOテクノロジーズ ZOZOフロントエンド部 大平 哲也氏だ。

「開発プラットフォームをクラウドに移行し、運用の手間を削減するとともに、CI/CD(継続的インテグレーション/デプロイ)を最適化するなど開発プロセスの改善も同時に進めました。GitHubはソースコード管理のデファクトスタンダードで世界中での活用事例も多く、さまざまなサードパーティアプリケーションや連携ツールも揃っています。そこで、GitHubを中心としたCI/CDの作業フローをすべてクラウドサービスで実装し、先進的な開発環境を構築しました」

大平氏はさまざまなサードパーティアプリケーションとの連携が可能になったことで、開発効率の向上も期待できるという。「現在、当社では、クラウドでCI を実行するWercker、コードの静的解析ツールのSonarQube、Javaファイルをライブラリとして参照可能にするJitPack.io、プロジェクト管理ツールのJIRAなどのアプリケーションを併用し、CI/CDの実現やテストの自動化、コード品質確認の自動化を実現しています。これらの開発環境を実現するために、企業向けGitHubのSaaS版を選び、開発環境をクラウドに移行したともいえます」

将来的には、シングルサインオンの仕組みを導入して、現在は暫定的に分散しているリポジトリをGitHub Business Cloudに一本化していくことも視野に入れているという。

モチベーションアップツールとしてのGitHubコラボレーション促進による品質向上

以前から個人的にGitHub.comを利用していた開発者も多く、会社が公式にGitHubの利用を認めたことで、開発者たちのモチベーションはますます高まることが期待されているという。

「オープンマインドで開発活動を行ってきたエンジニアにとってGitHubは理想の開発環境です。いかにコミュニケーションを円滑にしながら開発をコラボレーションするかをよく考えている点にリスペクトを感じる技術者も多く、使うのならGitHubであるべきだという社内の雰囲気がありました」と大平氏は語る。

今回のプロジェクトを振り返り、佐藤氏は、開発作業の自動化やコミュニケーションは、以前よりもとても良くなったという印象を持っていると語る。「GitHub を象徴するPull Request 機能の利用をきっかけに、レビュー活動が以前よりも活発になり、GitHub上で生産的な議論ができるようになった結果、開発品質の向上や効率化につながっていることはとても好ましい変化だと思っています」

さらに、GitHub を導入することで社内の仕事の進め方などにも変化が起きている。これまでバージョン管理システムを必要としていなかった非エンジニア部門のデザイナーやアナリストなどもGitHubを利用し始め、仕様書などのドキュメント管理における差分管理や、技術ブログ原稿の構成・レビューの自動化と公開を、GitHub上で行い始めた部署もあるという。

加えて、今後注目されるのはGitHubが企業のイメージ戦略にもたらす可能性だ。現在、ZOZOテクノロジーズは優秀な技術者の募集を意欲的に進めている。エンジニア採用競争が激化しているなか、採用側がエンジニアファーストで考えているか、最先端の開発環境に正しく投資しているかなどが応募者のモチベーションを大きく左右する。ZOZOテクノロジーズ ZOZOバックエンド部孫 光勲氏は、「エンジニアにとってソフトウェア開発プラットフォームに何を使っているかは大きな関心事です。GitHubが公式ツールだと説明すると大変ポジティブに評価されることが多く、会社のイメージアップや採用活動にも大きく貢献してくれています」と話す。

そして大平氏は、GitHubを当社の公式開発プラットフォームにできたことに大変満足していると明言する。「今回、GitHubの培ってきたコラボレーションの文化やエコシステムなどをしっかりと社内に導入することができたことは大変有意義であり、その恩恵を日々感じています。ギットハブ・ジャパンには、今後もエンジニアが幸せになる改善を続けて欲しいですね」

世界70 億人のファッションを変革するZOZOテクノロジーズの挑戦は、GitHubに集う秀逸なエンジニア同士のコラボレーションによっていよいよ本格化する。